「ウッス!二人とも〜
スッゲー盛り上がってんね?
何話してんの〜?」

「おはよう、
やっぱりアキも来てたんだね」

「フィル、ヴィンス!」


背後から声をかけられて
勢いよく振り向くと
珍しく今日はいないなー
なんて思ってた二人が並んで現れた。


やっぱりこの四人は
どこに行くにも一緒だ。


マイクもギターの音を止め
二人と挨拶を交わしてたらその時
グラウンドにいるケイからの叫び声が
こっちまで届く。


「マイク!
俺らのチームちょっとヤバイ!
いつまでもんなとこいないで
参加しろよ!」

「仕方ないな
わかった、今行く。
アキ、コレ持ってて」


そう嫌々そうに立ち上がると
ベンチにギターをそっと置き
着てた革のジャケットを私に放り投げてから
ピッチに向かって歩いて行った。


その姿を何となく無言で見送った後
二人は私の隣に腰を下ろしたから
ジャケットを抱きしめながら
そっちに身体の向きをかえる。


「でもさ、珍しいね?
サッカーってみんなあまりやらないのに。

クラスメートはほとんど
アイスホッケーとか
バスケとかやってるみたいだし」

「それはやっぱり
血の影響かな?」

「血?」


ヴィンスの冗談っぽい言い方に
ひそかに眉を潜めると
今度はフィルが
軽く伸びをしながら口を開く。


「――ケイはフランス系だけど
俺もヴィンスもマイクも
あとあそこにいる奴らの何人かは
イタリア系だからじゃねーの?

この身体の中に流れてるイタリア人の血が
自然とサッカーを求めるっつーかさ」

「イタリア?何それ。
みんなカナダ人でしょ?」

「ん〜と、何て言うかな
ここカナダと
あとアメリカなんかは移民の国で

元の住民はイギリスとかフランスとか
多くはヨーロッパの国から
移り住んできたんだよ。

で、俺の家は代々司れば
それがイタリア人だったって訳。
意味わかる?」

「そう言えば初めてジェフに会った時
聞いた事あったかも。
モントリオールはフランス系が多いから
フランス語話してるんだって」