「どうやって弾くの?」

「普段俺が弾いてんの
嫌ってほど見てんだろ
そのまんま」

「……うん」


言われた通り
さっきまでのマイクの姿を思い出しながら
恐る恐る弦を弾くと

ボロロロンってかなり格好悪い音と
指先に残る弦の感触が痺れたように響く。


……何で!?
マイクはあんな綺麗な音が出てたのに。


「ダメ」

「えっ?」

「全然ダメ。
お前にはギターの才能無し
諦めろ」

「ひどっ!
まだ一回しか弾いてないのに
そんなのわかんないでしょー!
ああっ!ギター返してよ〜!」

「いーや、俺にはわかる。
つかコレ俺のだし」

「バカマイク!
ケチ男っ!」

「アキにはあれだな
タンバリンとかマラカスとか
そーゆーので十分」

「むっかー!」

「ククッ、変な顔」


――ねえマイク。
今になって思うんだけど
もしもマイクがこの時

超丁寧に弾き方を教えてくれてたり
褒めて伸ばすようなタイプだったら絶対
私この時からギター
弾き始めてたと思うんだけど
どうしてくれんの?

……なーんて
そんなのマイクらしくないか。