私の手を振り払おうとする
ケイの腕をしっかり掴んで
強い口調で訴えたら

ケイは深々とため息をついて
私を床に座らせて
自分も共に座り込み
あぐらをかいた。


「あのさ、アキ
世の中には
ただのお節介野郎もごくまれにいるけど
たいていの男は理由もなく
女に親切にしたりしねーよ。

ましてやアイツの性格は俺もよく知ってる、
間違いなくイーライは
お前に好意を持ってるよ」

「嘘っ……」

「嘘じゃねーよ。
それじゃあ聞くけど
アイツは今日の試合
クラスの女全員誘ってたか?」

「それは、違うけど」

「ほらな、いった通りだ。
だから行くんじゃねーぞ!」


そう勝ち誇った風に笑う姿が
悔しかったのと
ちゃんと約束した事を破るのは
嫌だったから


「で、でも試合見に行くだけだよ!
ちゃんと車で送り迎えもしてもらうし
そんなに心配する事ない」

「ダメ、
あいつに何かされたら
どーすんだよ」

「な、何かって。
私達まだ小学生だよ?
そんな事ある訳ない」


こんな事ケイと話すのが恥ずかしくて
顔を赤くして俯くと
細く長い彼の手に両手首を強く握られて
痛みに顔をしかめた。


「甘いよアキ。
ガキだってアイツは男だ。
しかもあの年代の男は
すでにそーゆー事に興味ありまくり。

キスぐらいなら
いくらお前が抵抗しようとも
簡単に出来る」

「……そん、な」