――翌日
まだケイへのイライラが残る中

ベッドに座りながらケイもよく履いてる
スケーターブランドの
スニーカーを履いていたら
ガチャリと部屋のドアが開いた。


「アキーオハヨウ
起きてる?
アレ?今日学校休みだろ。
どっか行くの?」


休日はいつも昼まで寝てるケイが珍しく
こんな時間にきちんと着替えてて

あくびを噛み殺しながら
部屋に入って来た。


「う、うん
ローラと遊びに行く」

「ふーん、どこ行くの?」


何気なく言っただろうケイの質問に
不思議と視線が泳ぐ。


「えっと
友達のバスケの試合の応援に」

「友達ってダレ?」

「……同じクラスのイーライの。
試合あるから見に来てって
昨日言われたから」


途端にケイの視線が鋭くなった気がして
ビクビクしながら語尾を弱めたら


「ダメ」

「え?」

「絶対行くんじゃねーぞ、アキ。
つか、イーライって聞いた事ある名前だな。
誰だっけ……
……ってああ、フィルの弟か。
あのヤロウ」


すっかり色がなじんだ
水色の壁の一点を睨みつけた後
部屋から駆け出そうとしてた彼の腕に
慌ててしがみつく。


「ちょっ、ちょっと待ってよケイ!
どこ行くの!?」

「決まってんだろフィルの家。
アイツ調子のりやがって
ぶっ飛ばしてやる」

「はぁ?何でそんな事。
イーライとはただの友達だし。

私がこっちに来て
まだ言葉もわからないうちから
色々助けてくれたし。
そんな怒るなんておかしい!」