「そっか、よかった
なら話は早い。

だからな、
そのインターネットを利用すれば
俺らの曲を世界中の人に
聞いてもらえるように
する事が出来るんだ」

「へぇ、凄い!」

「ああ、現に俺らのサイトには
世界中からアクセスがあるし
感想なんかも聞けたりすんだぜ?

アメリカだけじゃなくて
ヨーロッパとかアフリカとか
それに日本からだって
メールが来るし。

だからさ、
メジャーなんて目指す必要
全然ないんだ」

「ふ……ーん」


ハッキリ言って
ケイの話してた事は難しくて
半分ぐらい理解できなかったけど

道の脇に寄せられた雪の塊をじっと眺める
ケイの瞳に色がなくて
不安に感じたから

それ以上は聞いたらいけない気がして
話題を変えた。


「あのドラム叩いてた人ってダレ?
見た事ない人だった。
ケイ達より大分年上っぽかったけど」

「あれはー今回だけ
サポートで入ってもらった奴。
顔見知り程度だから
詳しくは俺も知らねえし」

「サポート?
何それ?」

「うーんと、なんつーか
ライブやる為に
今回だけバンドに入ってもらった
助っ人って言えばいいのかな。

普段は打ち込み……
んっとー機械でドラムの音を作っちまうから
人はいらないんだけどさ」


……やっぱり、よくわかんないけど
バンドやるのも色々大変なんだ。

でも何でちゃんとしたメンバー
入れないんだろ?
いちいち面倒じゃないのかな。


眉をしかめて考えてたら
ケイはすぐにそんな私の様子に気付いて
こめかみに指を突き刺した。