――――――

約一週間後の約束のライブの日。
家で出かける準備をしてたら
何故かヴィンスが私を迎えに来た。


「あれ?ケイは?」

「ケイはちょっと用事があるから俺が代役。
大丈夫、ライブハウスで会えるかさら。
……それとも俺じゃ不満?」


緑のメッシュキャップを被ったヴィンスに
いたずらっぽく覗き込まれて
慌てて首を横に振る。


「ぜ、全然!
そんな事全然ない!」

「ハハッ!
そんなおもいっきり首振らなくても。
そう言えば今日の恰好
前と雰囲気違うね」

「う、うん、
ヘン、かな?」


ボーイズライクのデニムパンツに
オレンジと黒のロンT
ハイカットのスニーカー
グレーのニット帽姿で
恐る恐る尋ねたら

ヴィンスは一点の曇りもない笑顔で
ニッコリと微笑んだ。


前も思ったけど
彼の笑顔は凄く心が暖かくなる。


「ウウン、凄く似合ってるよ。
超可愛くてビックリした」

「ホントに!?
よかったー、あのね
昨日ケイと買い物行ったんだ。

地下のモール街みたいな所で
凄く広くてビックリした!」

「ここは冬は雪に埋もれちゃうからね。
雪に降られないで
買物出来るように作られたんだ。
確かに日本にはないかもね。
街2コ分ぐらいあるんだよ」

「へぇ、凄い!」


――こんな風にたわいもない話をしながら
連れて来てくれたのは
ライブハウス兼バーみたいな所で
凄くこじんまりとした建物の中は
沢山の人でごった返してた。

アンティーク風の趣のある内装で
ステージとフロアを囲むように
一段高くなった場所には
テーブルと椅子が設置されてて

ヴィンスは私をそこに案内すると
コーラの瓶を持ってきてくれた。


「はい、コーラ飲めるよね?」

「ウン、ありがとう。
でもやっぱり
私みたいな子供はいないね?
入っても大丈夫なの?」

「あーホントは駄目なんだけど
アキは特別。
だってケイの妹だから」


は?なんで!?

ケイの妹だからって
何で許されるの?