しばらくふざけあった後
やっと落ち着いてベッドに横になると

オレンジ色のスタンドライトのみが
ほのかに光る中
真っ黒い天井を見つめながらも
左側にいるケイの存在が気恥ずかしくて


「ケイ?
寝ちゃった?」

「んーん、マダ
何どーした?」

「私思ったんだけど
こんな風に
誰かと一緒に寝るって初めてだ。

普通はどうなのかわかんないけど
みんな母親とか父親とか
兄弟とかと眠ったりするの?」

「どうかな、俺も母親早くに死んで
あんまり記憶ないから
よくわかんねーや。

親父は例の如く仕事ばっかだったし
つーかそれ以前に親父と寝るとか
気持ちわりぃし」

「ふふ、そう?
ジェフカッコイイよ」

「は?
曲がりなりにもアキの父親だぜ?
よく自分の父親そーゆー風に言えんな」

「うーん、なんかね。
正直ジェフがお父さんって気は
まだしないかな?

ほら、まだあんまり
一緒に過ごしてないし、緊張するし」

「ふーん、じゃあ俺は?
まだ兄貴じゃないみたい?
緊張してる?」


ケイが横を向いて
私を見てるのが視界に入ったけど
何となく照れ臭くて
天井を見つめたまま口を開いた。


「……初めは緊張したよ。
ずっと嫌われてると思ってたし
言葉の事もあったし。

でも、ケイと話せば話すたび
一緒に過ごせば過ごした分だけ
馴染んでくっていうか。

凄く安心するし
うん、やっぱり血が繋がってるなって
実感するんだ。

私これまで凄く人見知りしてたし
人が怖くて仕方なかったから
こんなの自分でも驚いてるけど。
……でもそう思ってるのは私だけ?」


真面目に話した自分が恥ずかしくなって
最後ちゃかすみたいに
ちらっと視線を送ったら

すぐ側に真剣な表情のケイがいて
ふわりと身体を抱きすくめられた。


「……俺も同じ」

「え?」

「だから俺も同じだよ
お前といると魂が共鳴するみたいに
惹かれあってる気する。

お前と離れて生きてた10年が
何だったんだ!?って
無駄に思えるくらい」

「ケイ」