その夜
マイク達が帰って行った後
私の部屋はペンキ臭くて
とても寝れたもんじゃなかったから

「じゃあ俺と寝よう!
NOは受け付けねーし」
とケイの部屋に
強引に連れていかれた。


そうしてモノトーン調の家具が置かれた
彼の部屋のベッドで
ゴロゴロしてたら

シャワーを浴びてきたケイが
頭をタオルでガシガシ拭きながら
部屋に戻ってきた。


クッションに顔を埋めて
丸くなってた私に開口一番


「マイクの音凄かっただろ?」

「……え!?」

「そんな驚かなくても
お前が今考えてる事なんか簡単に解るよ。
あの後お前、妙に上の空だったし」

「……うん」


クッションを抱きしめながら
身体を起こし
そう呟いた私を

ケイはベッドに座り込みながら
優しい目で見つめた。


「どう思った?」

「えっと、今まで音楽なんて
ちゃんと聞いたことないし、
掛け離れた生活だったし
全然詳しくはわかんないんだけど」

「……うん」

「とにかくビックリした。
綺麗で激しくて、
こんな訳わかんない
気持ちになったのは初めて。

自分が誰かとか
ここが何処とか
全部どっか行って
ただ音の渦に飲み込まれたみたい」

「……そっか」

「もう!そんなにニヤニヤして
なーに?」

「いや、やっぱりお前は
俺の妹だなって」

「マイクも言ってたけど
それってどういう意味?」


改めて妹って言われても……、
妹だよ、私は。


「ん?
そのうちわかる。
ってかもう寝ようぜ、
今日は色々働きすぎた」

「ケイはブーブー文句言ってただけじゃん
ほとんどフィルとヴィンスがやった」

「うっせ!
そういう事言う奴は
くすぐりの刑だー!!」

「キャー!!」