伺うように目の前にいる人物を見ると
マイクは態度も表情も変える事なく
テレビを見続けてて。


これは別にそうしても
構わないって事かな?

――不思議な人、だ。


でもマイクの側にいるケイの様子が
自分を全てさらけ出してるような
凄く自然で穏やかな顔をしてたから

二人の親しい関係性が
いやがおうでもわかってきて

(しかもあのハケの数は
マイクが全く作業をしないっだろうって事
ケイには当たり前にわかってたみたい)

ケイにこんな顔をさせるマイクの存在が
彼の人間性への好奇心と共に
私の心に深く刻み込まれた。


――だから思い切って声をかける。


「……マイ、ク?」

「何?」

「あ、あのね、
ダメならいいんだけど」


眼鏡の奥の瞳がこっちを向いてて
やけに緊張する。

意外と優しい目。


隣のケイも面白がるみたいに
ニヤニヤと口を出さずに様子を伺ってて


「あ、あの
ギター、聞きたい」

「えっ!?」

「ほ、本当に……ダメなら
全然かまわないんだけど」


とたんに恥ずかしくなって
顔を赤らめながら下を向くと

前から笑い声が聞こえてきて
反射的にマイクを見ると
彼はケイと目を合わせて
何か含ませるように笑い合ってた。


「やっぱりケイの妹だな」

「……何、が?」

「いや、別に。
曲はなんでもいいの?」

「ウン、あまり曲とか知らないし」

「OK、わかった。
じゃあ――」


そうしてギターの下の部分を
リズムを取るみたいに
数回叩いた後

ゆっくりと
綺麗な指でギターの弦を弾き出した。


………――。


――この時の感動は
今でも胸に焼き付いていて
きっと永遠に
忘れることなんで出来ない。