「大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫、大丈夫ですよ。」

クソッ、さすがに即金は無理があったか。よし、落ち着け。落ち着いてもう一回考えなおそう。大豪邸の主が欲しがっていた掛け軸。それに見合う財産は、この家には中々ないらしい。そして、その財産は、コイツの右腕に匹敵するらしい。


充分じゃないか?


いや、充分すぎるだろ。これは相当の財産だぜ。うん千万、下手したら億いくんじゃねぇか。億…億だぞ?一万どころの騒ぎじゃねぇよ。

「それでは、こちらをお受け取りください。」

「あ…ありがとうございます。」

億…

億…

緊張で震える手をどうにか動かして、俺は布を取っ払った。