話が終わると、

彼女の母がいった。



「コーヒーもう
一杯いかが?」



「すみません。
いただきます」



僕がそう答えると、

彼女の母は席を立った。



彼女の父は、

何かを考えている様子だ。



彼女の母が、

新しいカップを持って

戻ってきた。



すると、

彼女の父が口を

開いた。



「ありがとう。
今の話で、
茉莉の考えが
少し理解できた
気がする…
茉莉の行動は、
本心の行動じゃないよ」



「本心じゃない…
それはどういう
意味ですか?」



僕の問いに、

彼女の父は



「自分で確かめて
みるかい?」



と言った。



それは彼女に

会えるということ

なのだろうか?



その言葉の意味を

わからぬまま、

僕は


「はい」


と返事をしていた。



そして、

僕は彼女の両親に

連れられて、

彼女が居ると

思われる場所へと

向かった。



30分ほど車に揺られ、

着いた場所は、

予想通り病院だった。



消毒液の匂いが漂う

廊下を、彼女の両親に

ついて歩く。



一歩進むたびに、

緊張感が増す。



彼女の両親からは、

入院している

理由までは、

聞かされていない。


いや…

正確には、

教えてもらえなかった。



茉莉からは、

入院の事も誰にも

言わないように、

口止めされている

らしい。



あれだけ望んでいた

茉莉との再開を、

こんなに怖く

感じるなんて…



どんな顔をして会い、

どんな言葉を

かければいいか…



困惑の最中、

彼女の病室に

着いてしまった。