あの衝撃的な出逢いから、

いや…

勝手な片思いから


僕は彼女のライブが

ある時は、

ほぼ毎回

足を運んでいた。



かといって

特に何をするわけでもなく、

いつも彼女の出番の時だけ

ホールに入り、

ホールの片隅から

彼女を見ていた…




そんな片思いが

3ヶ月ほど続いた頃…





僕は家の用事で

親戚の家に行っていた。



海沿いの田舎町…



潮風が全身を包み込んでいた。


帰りの駅のホーム


電車を待つ僕に

夏の夕日が

容赦なく照りつける



この日の夕日は光が強く

オレンジ色の光が

降り注いでいた



電車がホームに着き

僕はドアのすぐ近くの

座席に腰を下ろした



車両の中は人もまばらで

哀愁漂う

心地いい感じがした



そんな中…



ふと斜め前に目をやると…



車窓から降り注ぐ

オレンジの光の中に

1人の女性の姿が…



逆光と

下を向いていたのもあり

シルエットくらいしか

わからない



だが…


その姿はまるで

天使の様にも見え…


少し見とれていた



すると女性は顔を上げ

僕の方を見た



僕は慌てて顔を反らした



気まずさに女性の方を

見る事もできず…


無駄に路線図を

見たりしていた



すると女性の居た方から

僕の方に向かってくる

足音が聞こえてきた



正直、僕は…


逃げ出したい衝動に

かられていた



そして…



ついに足音が

僕の近くで

止まった…