「何?どーしたの?」
って聞いても
「なんとなく?」
って言葉で
濁されて、曖昧にされて。
そのことに意味があるような気がして
特別な、意味があるような気がしちゃって…
蒼井に“玲李”って呼ばれるたび
自分の名前が輝きだして、心が跳ねた。
ドキドキして、嬉しくて、
だけど、どこかくすぐったくて…
ふわふわと、踊り出しそうな気持ち。
口元はいつまでも、ニヤニヤと緩みっぱなしで
顔文字だとか記号だとか、一言だとか
そんなちっぽけなことで一喜一憂して
メールを保護しまくったり
頭の中では
何度も何度も『奏』って呼んで
打っては消し、打っては消し。
の、繰返し。
そんなあたしを
自分じゃどーすることもできなかったし
多分、他の誰にも
止めることはできなかったと思う。