その日の放課後、
加奈子は本屋に行った。


ひいきにしている
アイドルが載っている
雑誌を買うために。




残り1つだった雑誌を
脇にはさみながら他の
雑誌を立ち読みしていた。



『恋愛テク特集』

『もてメイク』

『もてファッション』




大好きな人のために綺麗になる、
なんてしばらく考えも
していなかった。



百合を見ると分かる。

大好きな人のために
毎朝髪を丁寧に巻いて、
少しだけメイクをして。





きっと落書きの彼女達も
毎朝頑張っているんだ。




今日、百合に言われた事が
頭から離れない。


恋愛も悪くないかも。




私も明日は早く起きて
気付くか分からない位の
メイクをしてみようか。



もしかしたら明日の
学校は何か違うかもしれない。




アイドル雑誌と
ファッション雑誌を
買った加奈子は
ゆっくり家に帰っていた。


なんでこんなに恋愛が
したくなったのだろう、


なんて苦笑しながらも




加奈子の帰り道の
並木道は寂しくはなかった。






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