次の日、
加奈子は昨日買ったCDを
百合に貸した。



いつもの笑顔で
ありがとー、と
言いながら隣の席に座る。



「発売日に買うなんて、
好きだねー。」


「大好きだって前から
言ってるじゃん。
愛してますから。」

「でもそろそろ現実見ろよー
そして恋をしなさいっ!」


笑いながら百合は言った。


現実か、
と加奈子は考えた。



「最低限、一緒にライブを
見に行ってくれる
人がいいな。」


そっかー、と
百合は大きな声で笑った。








――――――――

授業中、話も聞かず
さっきの百合との話を
思い出していた。


けっこう本気だったんだけどな、
なんて考えながら
外で白い息を吐いて
体育をしている生徒を眺める。



寒そうにしていながらも
楽しそうに野球をしている。