発車のベルが鳴り始めたころ
1人の女子高生が階段を
駆け降りてくるのを
隆也は見つけた。
隆也のクラスの東美紀だった。
隆也は足でさりげなく
ドアを跨ぐようにした。
隆也の足が出ていたため
ドアは閉まらず
東美紀は無事に
乗車することができた。
「……………ありがとう!」
「いえいえ。」
「…あ、藤本君!?
本当にありがとう!
これ逃したら次が
なかなか無くてさー」
「いや、別に…」
隆也は軽く赤面していた。
東ってこんなに
可愛く笑うんだ、なんて
思っていた。
東美紀はよく喋る
と隆也は思った。
でもあまり悪い感じはせず
むしろ東美紀との会話が
楽しいと感じた。
東美紀が下車するまで
2人はずっと喋っていた。