和成様に連れられ大きな部屋に入った


「滝次!待たせたな」


「おぉ―…って、いきなり女連れかよ」


どかっとあぐらをかいて座っている何とも言えない雰囲気の男の人


しかも和成様にあんな口のききかたが出来るなんて…

相当のご身分なのだろう




「この子は椿。さっきまで山ん中で野犬に襲われてたんだ」



和成様に馬鹿にした笑いを含む紹介をされて
私はぺこりと頭を下げた



「へぇ〜」



鋭い目で射ぬかれるように見られ後退りしそうだ



「そんな怖い目で見んなよ、恐がってる。
椿、こいつは嶺井 滝次(みねい たきじ)
赤美城(あかみじょう)の若殿」




「あの嶺井 滝次様ですか…?!」




「そうだけど?」








私はとんでもない場所にいる―…