走り回って野犬から逃げていたため
着物はぐちゃぐちゃ
体もドロドロで…


風呂にも入れて頂いて
さらに豪華な着物に着替えさせてもらった







「何とお礼を申し上げたらよいことか…
これまでの無礼といい、このように着物まで着せて頂いて…」



「これぐらい何てことないよ」



にこやかに微笑まれて相変わらずの柔らかい物腰


若殿様には不似合いな優しげな雰囲気



「名前は?」


「あっ、申し遅れました!
わたくし、嶋之実 椿(しまのみ つばき)と申します」


「椿か、
年はいくつ?」


「今年で17になります」


「17か〜
じゃぁ嫁入り先も決まってるの?」


「いぇ…行き遅れの身になりそうです」


2人して笑っていると


「若様」


襖越しに声がした


「何だ」


「滝次様がお見えです」


「すぐ行く」


「はっ。失礼します」




するとすぐに和成様は立ち上がり


「椿も来てみる?」


「えっ…?」