いつもなら、
外の世界が楽しそうでしょうがない。
諦めてはいたけど、毎日
「外に出たい」
そう思っていた。

でも、今は違った。
僕はこの檻の中にいたいと思った。

だって、檻の中にいれば
またあの人に会えるかもしれないから。

そんなことを思って
僕は女の人の向かって行った方を見ていた。

どのくらいたったんだろう。
その人に会ってからまだ数分しかたっていないはずなのに
とても長い時間に感じられた。

そんな時檻の鍵があいた。
『まだご飯の時間じゃないよ』
僕は鍵を開けたおじちゃんに教えてあげて、
また窓の外を見た。

急におじちゃんは僕を抱き上げてきた。
そしてどこかに向かって歩きだす。
急な事にびっくりした
僕はおじちゃんの腕の中で精一杯暴れた。
『あの檻から出されたら、あの人に会えないんだ。もう一度でいい。あの人に会いたい。早くもとの場所に戻して』
そう、おじちゃんに叫びながら暴れたけど、
おじちゃんは聞こえてないふりをした。


暴れてる僕におじちゃんは言った。
『いい子にしてないと買ってもらえないぞ』
僕には意味がわからなかった。

暴れたまま連れてこられたのは
真っ白いテーブルの上だった。
怖くなった僕は逃げようとしたけど、
おじちゃんの力には適わなかった。

怖くてどうしようもなかった。逃げ出したかった。
その時の僕はどうしてもあの人に会いたくて
諦められなかった。


でも、それは叶わなかった。