僕はまた夢を見た。
そこには見たことのない猫がいた。
その猫は目つきが悪くて、色も変な色をしていた。

だけど不思議と怖くはなかった。
『何かよう?』
僕は猫に尋ねた。

猫は言った。
『あんた、こんなとこで一人で寂しくないの?』
口も悪かった。

『寂しいに決まってる。毎日暗い家に一人ぼっち』
僕は唐突な質問に泣きそうになった。

その猫はミーと言っていた。
ミーは自己紹介してから僕に話し始めた。

自分も一人ぼっちだったこと。
小さな女の子が拾ってくれて
ある家で生きていたこと。
その家は僕にとって魅力的だった。
何より魅力的だったことは、
ミーはその家族と一緒にいたくて
お医者さんにもう1か月も生きられないって
言われてたのに7年も生きたことだった。

ミーが言うにはそのお家に行くと
“もっと生きたい”
って思えるらしい。

その家の家族は生きているだけで毎日喜んでくれるらしい。
本当に幸せなんだそうだ。

寂しい僕はその家に行きたくなって、
ミーに聞いてみた。
『どうやったらその家に行けるの?』

ミーが教えてくれたのはこうだった。
『明日、あんたのパパが帰るとき、玄関の鍵をかけ忘れる。
そしたら、ここの家の近くにある電気屋さんに行きなさい。
そこにちょっと怖い太った男の人と、それよりも
若い坊主の男の人2人が買い物に来るから。
2人ともよくみると顔が似てるからわかるはず。
2人とも犬があんまり好きじゃないから、
吠えたりしないようにね。
ちょっと怖い男の人に上目使いで「連れてって」
って言えば連れてってくれる』

『そんなことでいいの?
犬が好きじゃないなら連れてってくれないんじゃない?』

僕はミーに聞き返した。
ミーは自信満々にこう言った。
『大丈夫。パパは上目づかいに弱いんだから。
何よりもあたしは知ってる。
あたしもそうやってあの家に行ったから』

そう言ってミーは消えていった。