どうしてこんなことになったんだろう。

一人で考えてたけど何もわからなかった。
知らない女の人のことを恨んでみた。
何も変わらなかった。
それでも、この抑えきれない怒りが女の人に向けられた。

パパはそれから毎日一回は僕の顔を見にきた。
僕のごはんを準備して散歩に連れて行ってくれる。

だけど、僕は嬉しくも何ともなかった。
暗い部屋で毎日一日の大半を過ごす。

パパと会えるのは一日1時間くらい。

すぐに帰ってしまう。

それでも、僕はママに会えることを信じて
頑張って生き続けた。

何度も、どうやったら死ねるだろう
って思ったけど、
ママとの約束を胸に僕は
耐え続けた。


もう何か月たったんだろう。
一人の生活に慣れ始めた僕。

ママと会える日もあと3週間に迫っていた。
そんなとき僕に“恐怖”が訪れた。

『もしかしたら、ママに会えないかもしれない』
『迎えに来てくれないかもしれない』
そんなことを考えだしたら止まらなかった。
ママは迎えに来るって言っていたけど、
忘れてるかもしれない。

こんなに待ってるのにママは一度も顔を見せに来ない。

そう思ったらここに一人でいるのが嫌になった。
だけど、ドアの鍵は全部閉められていて
僕は出ることができなかった。

いっぱい泣いた。
どのくらい泣いただろう。
僕は泣き疲れて眠ってしまったようだ。