『ガルルを敵に回すと後々面倒だ』

確かマリネさんは、そんなニュアンスの事を言っていたように思う。

面倒?

何がかしら?

マリネさんは、恐らく世界的に見てもトップクラスの水属性魔法の使い手だ。

彼女がその気になれば、如何に人間離れしたガルル君でも敵わないだろう。

どんなに炎のブレスを吐こうが、魔物並みの耐久力を見せようが、マリネさんならばガルル君を無力化する手段くらい幾らでも持っているに違いない。

そんな実力者のマリネさんが、ガルル君と揉める事をどこか避けているようだった。

…改めて、ガルル君の姿を見つめる。

思えば彼の素性…その種族や生い立ちなどは、ガルル君を連れてきた学園長ですらも詳しくはご存知なかった。

一体ガルル君は、どういう存在なのだろう…。