「マリネ、久しぶり。元気か?」

極めてフレンドリーに、あの人魚の女王にタメ口をきく我がクラスの野生児君。

「あぁ…」

対するマリネさんは、額に手を当てて溜息をついた。

「そうかぁ…あんた達ガルルの仲間なのね…ガルルと揉めると後々面倒なのよねぇ…」

頭を抱えたまま黙考する事約1分。

「今回は見逃してあげるわ」

先程の逆鱗はどこへやら。

マリネさんはドレスの裾を翻し、驚くほどあっさりと踵を返した。

「いい事?キッチリ砂浜を掃除して帰りなさい?そうしたらお仕置きは勘弁してあげるわ」

「あ…有り難うございます…」

狐に摘ままれたような顔で、私達は去っていくマリネさんの背中を見送るのだった…。