という事は、目の前にいる彼女こそが、かつての人魚の女王にして最強の水属性魔法の使い手、茜ヶ久保マリネ…！

「……」

マリネさんは、周囲の砂浜に視線を向ける。

散乱した缶やビン、お菓子や食材の包装のゴミ。

この海を統べる海竜王リヴァイアサンは勿論、マリネさんも自らの守護する天空宮海域を汚される事を何より嫌う。

私達は彼女の逆鱗に触れたのだ。

「あ、あの！マリネさん！騒がしくしてしまった事はお詫びしますし、きちんとこの砂浜も元通りにして帰りますから！」

このクラスの担任として、私はマリネさんに言うが、既に彼女は怒り心頭、聞く耳をもってくれない。

まずいわ…。

私は気取られないように身構える。

とにかく生徒達だけでも無事に逃がさないと。

古の人魚の女王と一戦も辞さない覚悟を決める。

と。

「マリネ」

何と。

命知らずにもガルル君が、マリネさんの名前を呼び捨てにする！

「！」

ギロリとガルル君を睨むマリネさん。

直後彼女は。

「あら…ガルル」

驚いたように目を丸くした。