「ガルル君」

私は鉄格子を開け、自ら進んでガルル君の傍へと歩み寄った。

「おい、サユミ先生…」

学園長がたしなめようとするけど、私は足を止めない。

「!」

脅えているのか、虚勢を張っているのか、ガルル君が唸り声を上げる。

そっと差し伸べた私の手に。

「っ!」

ガルル君は、唯一自由な口で噛み付いた!

私の手に食い込むガルル君の牙。

鋭い痛みが走る。

それでも私は、振り解かない。

噛み付かれたまま、ガルル君を穏やかに見つめる。

「約束しようか、ガルル君」

私は微笑んだ。

「もし君が、この天空宮市の誰かに襲われそうになったら、私が守ってあげる。私が君の仲間の代わりになってあげる…誰にも君の事を、狩らせたりはしないわ」