幼子のように泣くガルル君を見ながら、私はやっとわかったような気がした。

…ガルル君は、怖かったのではないだろうか。

自分より強い者には、本能的に従ってしまうガルル君。

突然やって来た学園長に敗北し、強者である学園長について行き、着いた場所は人間や亜人種ばかりの天空宮学園。

自分の仲間である魔物を、理由もなく殺す者ばかりが数多く存在する場所。

自分の仲間は、ここには誰一人としていない。

自分の身は自分で守るしかない。

必要以上に気を張り、威嚇し、周囲に刺々しい態度をとる。

自分より強い弱いとやたらとこだわるのも、『殺されたくないから』。

自分はお前より強いんだ、お前は俺には敵わないんだ、だから襲わないでくれ。

殺そうとしないでくれと。

必死に周囲にアピールしていたのではないだろうか。