「ガルル、君は、君を負かした僕の言う事なら聞くんだね?だがサユミ先生は君に勝った訳じゃないから、言う事は聞かないと」

「そう!俺、自分より弱い奴の言う事聞かない!」

さも当然の如く大きく頷くガルル君。

その表情には自信と、これまで数多の魔物ひしめく千獣の樹海で生き抜いてきた矜持が表れていた。

そんな彼に。

「だったら僕がガルルに命じる」

学園長はガルル君の鼻先を指差した。

「『今後サユミ先生の指示には一切逆らわない事』、ガルルに勝った僕からの命令だ」

「う!」

思わず言葉に詰まるガルル君。

学園長の命令は、理にかなっている。

私の指示に従うように、ガルル君よりも強い学園長が命令しているのだ。

結果として、ガルル君は私の指示に従わないと、学園長の命令に背いた事になってしまう。