「サユミちゃん!サユミちゃんっっ!」

頭上、石柱の頂上からラビさんが悲痛な声を上げるけど、返事を返す余裕はない。

痛みに閉じていた目をゆっくりと開くと…世界がグニャリと歪んで見えた。

頭部を強く打ち付けてしまった事による脳震盪の症状か。

目が回る。

満足に上体を起こす事さえできない。

…抗い難いほどの睡魔が襲ってきた。

これは眠気とは違う。

気絶寸前の症状。

ダメージの限界を超えた肉体が、強制的に意識を断ち切って、回復を促そうとしている。

このまま睡魔に任せて眠ってしまいたい衝動に駆られる。

だけど、私は必死に重い瞼に耐えた。

…虚ろな瞳に映る光景。

ガルル君が…ガルル君がまだ戦っている!