私の問いかけに、学園長先生は首を横に振った。

「種族はいまだ不明だ。彼が何故あの樹海に存在し、これまでどうやって暮らしていたのか、両親はどうしているのか、何もわかっていない。しかし」

学園長先生は私の両手をとった。

「彼はこの年齢になるまで、たった一人で生き延びてきた『能力』がある筈なんだ。僕はそれを、この学園での生活で開花させてやりたいんだ…お願いできないかい?サユミ先生」

「……っ」

学園長先生が、私にここまで言って下さっている。

尊敬する学園長先生に頼まれたとあっては、私も無碍に断る訳にはいかない。

「じゃ、じゃあ…」

私はおずおずとガルル君の方に振り向き。

「ガルル君、今日から貴方の担任になる、サユミ・パスティーユよ。よろしくね?」

ぎこちなく笑顔を浮かべて挨拶。

「やだ」

間髪入れずに玉砕した。