「ガルル君…傷は何ともないの?」

あまりに元気なガルル君の姿に、私は思わず問いかける。

私は彼の教師だ。

気遣う姿を見せて、教え導く者としてのプライドを保とうとしたというのはここだけの話。

「大丈夫、俺、もう回復した」

ケロリとした顔で振り向き、後続の私を見るガルル君。

その表情は痩せ我慢や私に心配させまいとするものではなさそうだ。

彼が無事なのはいい事だけど、一体ガルル君の体はどうなってるのかしら?

ここまでくると、ガルル君が人間や亜人である事すら怪しくなってくる。

無尽蔵な体力、驚異的な回復力、炎や雷のブレスを吐く能力。

それは人間や亜人ではなく、まさしく魔物そのもの。

しかもとびきり上位の魔物だ。

人間と同じ姿をしているものの、もしかしたらガルル君って本当に…。

考えを巡らせながら、私はゆっくりと歩を進めた。