渾身の力を込めた刃が、大木の如きガルグイユの太い首に振り下ろされる!

並の剣ならば刃こぼれして、傷を負わせるには至らないだろう。

しかし私の愛剣は名工によって鍛えられた業物。

『竜殺し』の称号を持つ私の為に鍛えられた銘剣だ。

その切れ味は、たとえ伝説にすら語られる竜種の体にでも、傷を刻み込む!

ガルグイユの首に食い込む大剣。

その痛みに、ガルグイユは咆哮を上げる。

いける。

もっと力を込めれば…!

両手で柄を握り締め、大剣に全体重をかけて。

「その野太い首、両断してあげま…!」

言いかけた瞬間だった。

「っっっっっっっ!?」

突然、視界に大きな火花が散るような衝撃。

直後、私の体は高々と宙を舞う。

…口腔内に広がる鉄錆の味。

その数秒後。

「ぐっ!」

私の体は、凍りついた湖面に打ち捨てられるかのように叩きつけられた。