そうは言っても負傷は負傷だ。

ガルル君にはこのまま休んでもらい、ここからは私がガルグイユの相手をしなければならない。

彼の体を横にして、私は立ち上がって大剣を構える。

…本当は、もう少しガルル君の力を借りたかったのだ。

魔物学の事典でガルグイユについても調べた事がある。

強力な水流を吐き、洪水すら起こして村や街に水害をもたらす災いの竜、ガルグイユ。

しかしガルグイユは水棲の竜種でありながら、意外にも炎に弱いのだという。

ガルル君は炎のブレスを吐く事ができるから、ガルグイユに対して致命的なダメージを与える事ができたのだけれど…。

そこまで考えて、私はがぶりを振る。

ガルル君は湖に氷を張り、足場を作るという役目を果たしてくれた。

彼は彼の仕事を終えたのだ。

だからここからは、私が頑張る番。

両手でしっかりと柄を握り締め、大剣を構え。

「サユミ・パスティーユ、押し通る!」

私は一歩を踏み出した!