長い首を持ち、甲羅とヒレを持つ巨大な竜。

ガルル君が口走ったガルグイユとは、当然この竜種の名前であった。

フランス語で『大酒飲み』という意味の名を持つこの竜。

勿論この名をつけられたのには理由がある。

ガルグイユは体の中に大量の水を溜める事ができ、更にその水を一気に吐き出せるという能力を持っている。

その高圧の水流の威力は先程見た通り。

グリフォンさえも一撃の下に仕留めるその水流は、ちょっとした攻撃魔法と比べても遜色はないだろう。

ガルグイユは、このカルデラ湖の湖底に潜んで、湖の上を獲物が通過するのを待ち、こうして水流で撃ち落としては捕食しているのだろう。

「この湖にいる限り、ガルグイユ、ずっと水吐ける。あの水何とかしないと、俺達近づく事も出来ない…!」

ガルル君が苦々しく呟いた。