それはともかくとして。

「じゃあ、リントヴルムにさらわれたラビさんも…!」

リントヴルムがこの有り様なのだ。

もしかしたらラビさんも既に…!

絶望的な結末に私は口元を覆う。

しかし。

「いや、ラビ、生きてる」

ガルル君は鼻をスンスンと鳴らした。

「この天空険道のどこかから、ラビの匂いする。きっとリントヴルム、『獲物』を横取りされた為にここでやられた。なら、獲物を横取りした奴のとこに、ラビもいる筈」

「ほ、ほんと?」

ガルル君の言葉に安堵の溜息をつく一方、このリントヴルムから獲物…ラビさんを奪い取る事ができるほどの竜種が存在する事に戦慄を覚える。

あれ程の強さを誇るリントヴルムよりも更に強い竜種が、ラビさんをさらっていったのだ。