ガルル君の命じるままに、グリフォンは空を翔る。

リントヴルムも相当な飛行速度だったけれど、このグリフォンはそれに輪をかけて速い。

しっかり背中にしがみついていないと、簡単に振り落とされそうだった。

それにしても意外だ。

このグリフォンが、こうも簡単にガルル君の命令に従うなんて。

私は、呼び寄せたはいいけどガルル君の指示に従わず、またひと悶着あるかも…と、気が気でなかったのだ。

「サユミ、失礼」

グリフォンの背中で、ガルル君が頬を膨らませる。

「千獣の樹海の魔物、皆仲間。そりゃあ生き延びる為に弱い生き物食べる魔物、いるけど…普段は無闇に争ったりしない。千獣の樹海の魔物、無意味な争い嫌い」

へぇ…そうなんだ…。

どうしても魔物というと、人間を襲って危害を加えるというイメージがあるけれど、魔物同士だと普段は大人しいのね…。

「でも、天空険道の魔物、違う」

ガルル君は俯き加減になった。