飛び去っていくリントヴルム。

ガルル君は躊躇する事なく、竜の後を追いかけようとして。

「待ちなさい!」

肩を掴む私の手に引きとめられた。

「放せ!」

パンッ、と私の手を叩いて払いのけるガルル君。

振り向いた時に向けられたその視線は、あくまでも鋭く、憤怒に満ちた眼差し。

転校初日に見せていた、何者をも信じず、近づく者全てに敵意を剥き出しにしていたあの眼差しだ。

しかし、ガルル君はその眼差しを今、転校初日とは別の理由で向けている。

早く行かなければラビさんの身に危険が及ぶ。

自分の為ではなく、クラスメイトの危機を救う為。

その事が、私はどこか嬉しいような気がしていた。

「何も助けに行くなって言ってるんじゃないわ」

私は不敵な笑みを浮かべる。

「私も行くわ。準備するまで少し待ってて」