朝食を済ませ、戸締まりを確認して、私とガルル君は出かける事にした。

午前8時。

今日は授業がある訳ではないので、いつもよりもゆっくりした出勤だ。

外は晴れ渡ったいい天気。

緑が香り、太陽も次第に強さを増している。

今日も気温が高くなりそうだ。

生徒達は絶好のお出かけ日和で、休日を満喫しているかしら。

手をかざして空を見上げながら、私はそんな事を考える。

その見上げた遥か上空を、影が横切った。

あの形状は鳥や飛行機じゃない。

蝙蝠のような翼、長い首と尾。

紛れもなく飛竜だ。

魔物と人間が共存する天空宮市では、鳩や鴉のように、飛竜が市街上空を通過する光景など珍しくはない。

魔物達も棲み分けはきちんと理解しているらしく、余程の理由がない限り、人間達が生活している天空宮市街地に襲撃を仕掛ける事などない。

だから、こうして頭上を魔物が通過していっても、恐れる人など皆無だった。