「じゃあさ、一緒に帰ろうか……翔也!!」


いきなり話しかける未憂。よくわからないテンションの女の子だ。


「えっ?全く話の流れがわからないんだけど……」


「翔也!!……嫌なの?」


「ううん、いいけど、そんなに名前を強調しなくていいよ……恥ずかしいから」


「えっ?翔也、未憂の事名前で呼んでくれてないよ?だからもう一度やり直し」


「わかったよ未憂。一緒に帰ろう」


「やったぁ!!帰ろう帰ろう!」


そう言って俺の荷物をまとめる未憂。俺の鞄に今日配られたプリントや教科書を適当に詰め込んだ。


「よし!準備オッケー!帰るぞ翔也」


立ち上がる未憂。


「あぁ、帰ろうか未憂」


俺も続いて立ち上がった。


「よし、合格!」


「えっ?……何が」


「ちゃんと未憂の事未憂って呼んでくれたから。合格!」


「そりゃあどうもありがとう。帰ろうか……」


鞄を持ち、教室を出る2人。俺の横でスキップしながら俺についてきている未憂。


階段を降り、校舎から出ると、1人の若い女性の先生と目が合った。


「あら……志麻君じゃない、よく寝てたわね。私の話全く聞いてなかったでしょ?」


「はい、正直何もわかりません……」


先生はため息をつくと、また話し出す。


「正直でよろしい……。とりあえず私の自己紹介からね……1年C組担任の澤田結衣よ。よろしく。次に連絡だけど……まぁ筆記用具だけでいいから。連絡はそれだけ。あとはプリントに書いてあるからよく読んで来なさいね?」


「わかりました。ありがとうございます」


「それじゃあ気を付けて帰りなさいね」


「はい、さようなら」


そう言って頭を下げる俺。校舎に戻っていく澤田先生。それを見つめる未憂。


「先生、未憂もさようならです」


澤田先生はこっちに振り向き、手を振っり、校舎に戻っていく。