俺はあわてて廊下に飛び出し、突き当たりの廊下を見る。しかし、当然だれも立っていない。


「何なんだいったい……夢か?寝ぼけているのか?いや、確かに見たし、足音も聞いたんだ。やっぱり俺が見たのは……幽霊だよな?」


俺はおどおどしながら教室に戻り、机に伏せた。しかし、さっきとは違い、下を向き、机に伏せる形となった。早く寝たかった。寝て今の出来事を忘れたかった。


「寝ろ!寝ろ!寝ろ!……」


そう自分に言い聞かせ、眠りにつく。


***


「ねぇ?ねぇ?学校終わっちゃったよ?ねぇ起きて」


その声と共に体を揺さぶられ目を覚ました。時計を見ると11時を過ぎていた。そして目の前にはとても可愛らしい茶髪のポニーテールの女の子。


「みんな10時30分には帰っちゃったよ?キミ爆睡してたから誰も起こさなかったけど、未侑(みう)は優しいからキミを起こしてあげたよ」


そう言ってニコッと笑顔を見せる女の子。


「あぁ、ありがとう。えーっと……名前は??」


「名前は自分が先に名乗る物でしょ?キミから名乗ってよ?」


「あぁ……ごめんごめん、俺は志麻翔也。キミは?」


「にゃははっ。未憂は中森未憂(なかもりみう)って言うんだよ。未憂って呼んでね?だから未憂は翔也を翔也って呼ぶからね?」


目をキラキラ輝かせる未憂。


「うん、いいよ」


そう言って頷く俺。未憂の瞳を見ると、頷く事しかできなかった。


そして、「やったぁー!!」と言って飛び跳ねる未憂。


何だかとても嬉しそうに喋る未憂という女の子。まるで初めて友達ができたかのように、未憂ははしゃいでいる。


はしゃげばはしゃぐほど子供みたいで可愛らしい未憂。本当に高校生なのだろうか?