ガチャ―――――――――。

ドアが開く音がした。

「楓」

空兄の声。

近づいてくるのがわかる。

僕はドアに背を向けたまま…寝たフリをする。

「楓…どうしたの?」

ベッドに腰掛ける空兄。

「言ってくれなきゃわからない」

「…何でもないよ」

空兄のため息。

あの気持ちはきっと疲れているからおかしくなっただけだ。

明日から普段通りだろう。

「何でもなくないだろ?いきなり飛び出して心配したんだぞ」

心配なんかしてないだろ…。

桜ちゃんとイチャイチャしてたんだ。

「お腹すいた」

「…ご飯、食べよっか」

この話はもうしたくない…。

「うん」

1階に行くと海兄が椅子に座って携帯を弄っていた。

「海、お前まだ飯食べてないだろ?」

携帯にむけていた視線を僕らに向ける。

「ん…ああ、食べてない」

「お前を待ってたんだぞ」

空兄は僕を見て頭を撫でる。

「…ごめん」

僕は俯いて謝る。

「早く食おう冷めちまう」

海兄が急かす。

皆椅子に座る。

「「いただきます」」