「ただいま」

ドタドタドタとリビングから足音がして海兄が現れた。

「おかえり!」

食事を用意していたのかエプロン姿だ。

カレーの匂いがする。

「今日はカレー?」

「うん、そうそう。滅茶苦茶美味いぞ」

上手くできたのだろう凄く笑顔だ…。

僕は今笑顔になれない。

「俺先に風呂入るわ」

空兄は被っていた帽子を海兄に被せ風呂場に行ってしまった。

「なんだ?機嫌悪くないか?何かあったの?」

海兄は状況が把握できないようだ。

「知らない」

僕はさっさと自分の部屋に行った。

兄弟部屋は別々で僕の隣が空兄でその隣が海兄だ。

2階に部屋がある。

1階から海兄の声が聞こえた。

「おーい飯できてるんだけど!」

お腹空いてるはずなのに食べる気力が湧かなかった。

「いらない!」

ベッドに身を投げる。

何かドッと疲れた……。

空兄が桜ちゃんに触れたときのあの気持ち…。

今日の僕はおかしいんだ。

寝たら直るだろう…。

少し寝よう………。