胸が苦しい…。

僕は近くの公園のブランコに座った。

桜ちゃんと空兄が抱き合った…。

あんなの嫌だ…見たくない…!

「空兄の馬鹿…」

プップー

公園の入口でクラクションがなった。

桜ちゃんのママの車だ。

「楓君こんなところで何してるのー?」

「遊んでるんだ!」

桜ちゃんのママがクルマから降りてこっちにやってきた。

「お兄ちゃんは?」

「桜ちゃんとまだ幼稚園にいるよ」

「どうして楓君だけここに?」

いたくなくて飛び出してきたなんて言えない…。

「それは…」

桜ちゃんのママの顔が直視できなくて俯いた。

「ママ!!!!!!!!!!!!」

入口から声がした。

顔をあげると桜ちゃんと空兄がいた。

「桜!」

桜ちゃんのママは走って桜ちゃんを抱きしめた。

桜ちゃんのママは空兄に一礼して帰っていった。

空兄がこっちにくる。

僕はまた俯いた。

「楓」

僕は黙ったままだ。

「帰るよ」

家に帰るまでそれ以外会話は交わさなかった。