たくさんのタオルを取りだし、
決して濡れた身体を拭く訳でもなく、シンデレラはそれに顔を埋める。



あたしが奴隷でなく、そして彼もまた王子ではなく、それで出会っていたのなら、きっとこんなにも悲しい思いをしなくて済んだのだろうに。


「現実」とはあまりにもシンデレラにとって、残酷なものだった。



「・・・・・っ」


部屋の外に漏れないように、口元をその柔らかい生地に押し当て、声を出して彼女は涙を流す。

籠ったその泣き声は、誰にも届く事なく 部屋の中で消えていった。