職員室に連れてこられた俺の前に出されたのは
住所が書かれた一枚の紙。
『…"山代ホスピスセンター"?』
『ああ、ここは知っているな?』
山代ホスピスセンターといえば、
治る見込みのない患者が入り、
残りの余生を静かに暮らす場所。
『え、先生?うそだろ?』
先生は静かに泣いた。
『すまん、雨宮。立花がお前だけには言うなと言っていたから…』
ああ、あぁ 俺はなんて馬鹿だったんだろうか
いつも一緒にいたのに
一番近くにいたのに
なんて気づいてやれなかったんだろう
『…先生、俺 行ってくるわ』
『…っでもお前、雨宮は会いたくないと言ってるんだぞ!?』
それでもね、先生
それでもいいんだ。
もし奏に拒まれても
俺は後悔したくないから。
無鉄砲な俺が「俺」だから。
奏、ごめんな
いまきみに会いに行く。