「やっぱり…駄目なんですか…」




「ごめんね、ナツメちゃん…昨日の夕方にはもう…」




「なんで…なんであの子がそんな目に遭わなきゃなんないんですかね…っ」



ナツメちゃんが泣いてる?



てかあの子って…奏のこと?



どうしようもなく
胸がざわついた。





「奏は…もうきっと…」




ふたりが泣いてる。



くそ、動け 俺の足。



動け、俺の口。



聞くんだ、ふたりに




奏がどうかしたのかって




なにかあったのかって





でも小心者の俺には足も

口も、ましてや駆け寄って問いただす、なんてことはできなかった。