「だから調子になんか乗ってないだろ。
何が気に入らないのかよくわかんねえけど、遅刻しそうだからもう行くわ」

こんな奴に付き合っている暇はない。

俺の後ろで小さくなっているノブに目配せをして、ついて来いと合図をだす。

ノブが小さく頷くのを見て、俺は強引にツヨシと根性無しの間に入り込もうとした。


根性無しは俺がその小さな隙間に入り込もうとすると素直に道を譲ってくれたけど、ツヨシは一歩も動かない。

すれ違い様にツヨシを見ると鋭い目つきで俺を睨んでいた。

面倒臭いな、と思いながらその視線を無視して無事に二人の間を通り過ぎる。

走らなきゃ学校間に合わねえかも、と考えていたとき。


「やめて! 返して!」

そんなノブの声と。

「うるせえ! こんな女みたいなもんランドセルにつけやがって気持ち悪いな」

ツヨシの意地悪い声が聞こえた。