ぎゅっと拳を握りしめた。 するとカイルは階段を降りる前に、足を止めた。 そして、「俺は……」と低く呟く。 「お前がエルシール王女じゃなくても……」 カイルは振り向かず、静かに言った。 「王女じゃなくても、俺はお前と旅をしていたと思う」 そう言って、一度も振り返ることなく階段を降りていった。