「帰るんでしょ?」
「あぁ、うん。エルシールも落ち着いて来たしもう大丈夫だろうってことで、うちの陛下が戻れってさ」


淡々と話すカイルは私の隣に立ち、外を覗き込む。
その横顔を見つめた。


「ありがとう」


私はカイルに向かって頭を下げた。


「カイルがいてくれなかったら、私は……、エルシールは元には戻らなかった。あの時、カイルに出会っていなかったらどうなっていたかわからない。本当にありがとう」


カイルはちょっと驚いた顔をしたが、すぐに微笑んだ。


「初めて会った時、興味で一緒にいるっていったろ?」
「うん」


言っていた。私と旅をしているのはただの興味だと。