「海!」

ザッ

綺麗にリングに吸い込まれるように入ったバスケットボール。

「ナイッシュー!次!」

「はいっ!」

ふぅ…と息をつきタオルを手に取った少年。

彼の名前は倉本海(くらもとかい)。

ここ、星凌高校(せいりょうこうこう)バスケ部のルーキーだ。

今は春休み、今日は一日練習。

部員が次々と顧問の錦(にしき)から繰り出されるボールを受け取り、リングへ向かってシュート練習をしている。

「ほらよっ」

『お、サンキュー』

ふと、海に渡されたペットボトル。

「いくら今が春とはいえ、こんだけ練習すりゃ汗でるわな」

ペットボトルの蓋をあけ、ぐびぐびと飲み始める海に思わず吹き出し笑いをした瀬野真実(せのまみ)、彼女はマネージャーだ。