その日の夕方、私の容態は急変した。
まだ、2ヶ月ほど、早かったけど、私の容態は悪く、すぐにお母さんも、大輔も呼び出された。
私は、もうろうとする意識の中、初めて大輔の涙を見た。
大輔は、ジャージ姿で、今、部活を飛び出して来た感じだった。
二人とも、走って来たのだろう。汗が見える。
「先生。比奈は、比奈は?」
先生にしがみつくようにお母さんが、泣いている。
死を間近にするとこんなに落ち着いていられるんだ。
「残念ですが、手術も、体力的に無理です。我々は全力で治療に当たります。」
力が抜けたみたいに、その場にしゃがみこむお母さん。
お母さん、ごめんなさい。
ごめんなさい。